日曜日、いつものようにダイビングを終えてから、思いがけず散骨に立ち会うことになった。散骨とは、故人の遺骨を海に撒く弔いです。僕のダイビングショップでは、ダイビングだけではなく散骨も受け付けています。
とりあえず洲崎沖を目指す
仲間も一緒
…いやそもそも、僕は散骨される故人とはまったく何の関係もない赤の他人な訳だが。
関係のない自分が、はたして散骨などについていってもいいのだろうかと疑問に思っていたが、驚いた事に、故人の遺族が誰一人として来ていないのである。
お墓の納骨ならば、遺族がその場にいなくとも、後からお墓参りに行く事はできる。しかし海への散骨となると、その場限りの本当のお別れとなってしまう。その大事なお別れの時間を、遺族は何を思ってか、業者に「委託」しているのである。その業者も、若い女性が一人だけ。
…これも時代なのか。いや時代とかそういう問題じゃねえだろうと思うのだが。
…とにかく、弔いをしなくてはならない。お別れの時間、若い女性の業者さんが、海に散骨と献花をします。細かくすり潰された遺骨は、海の中で真っ白い煙幕のようになって消えていく。もちろん業者さんは、それらしい雰囲気を遺族に見せるため、つぶさに撮影をしています。
遺族に見送ってもらう事ができずに、夕方の海に消えていく見知らぬ故人が、何だか物悲しく思えたので、せめて僕だけでもと合掌してあげました。
ご冥福を祈りつつ